CosmosBlueのブログ

日々のよもやま話を徒然と

浴室シャワー水栓 KVK KF771 カートリッジ交換

KVK KF771T のカートリッジを交換します。浴室シャワー水栓なので、開閉レバー用の切替弁カートリッジと温調レバー用のサーモスタットカートリッジがあります。この2つを同時交換します。

既にキッチン混合栓 KM5031JTおよび洗面台混合栓 KF868G はカートリッジ交換を記事にしましたが、浴室シャワー水栓 KF771Tは故障もなく設置から10年経過しました。しかし最近、開閉レバーを開け閉めする際に「キュー」という音がするようになり、温調レバーも動かすのが重くなってきた(元々軽くはないですが)ので、これら2つのカートリッジを同時に交換することにしました。

手順は概ね次のようになります

  1.  レバーハンドル部分の取り外し
  2.  水栓閉じ
  3.  蛇口と本体カバーの取り外し
  4.  カバーナットの取り外し
  5.  カートリッジの交換
  6.  カバーナット締め
  7.  レバーハンドル仮取り付け
  8.  湯温位置の調整
  9.  レバーハンドル取り付け

この手順で最も手ごわいのはキッチン混合栓や洗面台混合栓と同じく4. カバーナット取り外しと、5. カートリッジ交換における既存カートリッジの取り出しです。逆に言えばこれらを突破できれば業者に頼むのがバカバカしいくらいに簡単な工事です。ところが今回これは苦労することになりました。

では、今回も道具から見ていきます。

KF771カートリッジ交換に使用する道具

左から、

  1.  レバーキャップを外すための薄口マイナスドライバー
  2.  カートリッジの破損に備えた細口プライヤー
  3.  水栓を回すためのマイナスドライバー(マイナス5.5mm)
  4.  36mm対応のモンキーレンチ
  5.  新しいサーモスタットカートリッジ(KVK PZ77F)
  6.  新しい切替弁カートリッジ(KVK PZ669)
  7.  湯温調節に必要な水温計(タニタ TT-583)

3.は写真では特殊なものに見えますがただのマイナスドライバーです(超短いドライバビットしかなかったので本体がデカく見えているだけです)。4.は36mm以上開いて回せるモンキーレンチまたはモーターレンチが必要です。7.はサーモスタットカートリッジ交換後にレバーの40度を合わせるために必要です。

今回のために新たに調達した費用は、5,780円(PZ77F)+ 3,399円(PZ669)+ 1,045円(TT-583)= 10,224円 になります(全てAmazon時価)。

では作業を開始します。まず開閉レバーとキャップの隙間にマイナスドライバーを差し込みキャップを浮かします。ある程度浮かせるまでは抵抗があります。三本の足がレバーに刺さっていますので、5~6mm程度キャップが浮いたら真っ直ぐゆっくり引き抜きます。

レバーのキャップを浮かす

レバーのキャップを外す

キャップが外れるとレバーはそのまま簡単に引き抜くことができます。レバーを抜いたら切替表示のリング(「止」って書いてあるやつ)と、その下のプレートも簡単に外れます。こんな感じになります。

レバーを外すと切替弁と水栓が見えました

では、水栓を時計方向へ回して水側を止めます。同心円状にストレーナーの切り欠きもありますが、内側が水栓です。

マイナスドライバーで水側栓を止める

さて、ここまでやった作業を反対側の温調レバーに対しても行い水栓を時計方向へ回して湯側を止めます。

温調レバーを外して湯側栓を止める

ここでついでだからストレーナーも清掃しようとしましたが、この切り欠きに対応できるドライバーを持っていなかったので今回は諦めました。おそらく水道工事用の18mmマイナスドライバーが無いと回せないと思います。

温調側にはカバーナットにプラスチックのギアのようなパーツがはまっているのでそれも外します(抜くだけです)。

温調側のカバーナットからプラパーツを外す

切替弁側は問題ないのですが、温調側のカバーナットにモンキーレンチを合わせてみると、鏡に当たるか本体カバーに当たるかでモンキーレンチを回せそうにない状況でした。これはレンチの形や厚み、またはカバーナットの掴み位置がどこで止まっているかによって異なり、問題がない場合もあります。今回はこれらの組み合わせが良い環境ではなかったということです。

このため、温調側にモンキーレンチのクリアランスを確保できるよう本体カバーも外していきます。まず蛇口の根元にある二つのナットの上ナットを回して蛇口を外します。

蛇口を外す

続いて蛇口の付け根にある下ナット(蛇口と本体の接合ナット)を回して外します。

蛇口と本体の接合ナットを外す

これで本体カバーを外すことができます(背面のシャワーホースを外す必要はありません)。

露になった本体のお姿

ドーーーン・・・さびっ錆です・・古びた蒸気機関車のようですね・・きっと新品の時は輝くブロンズだったのでしょう。とりあえずこれでカバーナットにはクリアなアクセスができるようになりました。

続いてカバーナットを外して行きます。まずは切替弁側から。反時計回りなので上から下に向けて力をかけることができ、モンキーに力をかけたら割と簡単にゴリッと回りました。

切替弁側カバーナットを外す

ところが、ダメなのはサーモスタットカートリッジ側のカバーナットです。とにかく回りません。サビついていて、コツコツ叩いたりミシン油を隙間に差してみたりしましたが頑として回りません。

回らないサーモスタットカートリッジ側カバーナット

こちらも反時計回りですが、前面で鏡と干渉するため、切替弁側とは逆に下から上に力をかけることになりました。しかし、本体が壊れるんじゃないか、とか、本体が台座の樹脂ごと剥がれるんじゃないか等、心理的に自分で力をセーブしているような気がしました。

なので、しゃがんで腕の力だけで回そうとするのではなく、立ち姿勢になって左手は全体重で上から本体を押さえつけ、右手はゆっくり力を増大させ続けて引き上げる感じで回してみたところ「ゴキンッ」という音と共に回りました。あれほど回らなかったのが嘘のようにあっけなく。やっぱり覚悟の問題で力をセーブしていた感が強いです。

サーモスタットカートリッジ側のカバーナット

やっぱり緑青が出ていますね。これで苦難その1は突破しました。

続いて苦難その2です。切替弁カートリッジを引き抜くのですが、これまったく抜けません。KVKがYoutubeに出している動画では、手で抜けない時はレバーとキャップを付けて引き抜くようになっていましたが、そんなんじゃビクともしません。

KVK以外のYoutubeコンテンツで、レンチで芯をつかんでそのレンチをハンマーで打つと抜ける、という動画もありました。しかし、現物破壊を前提にしたやり方では、万が一交換品が初期不良だった場合に元に戻せなくなるので困ります。可能なら無傷で抜き取りたいものです。

切替弁の右隣がバスタブで引き抜き動作の体制が悪いため、温調側から体を被せて両手でレバーを掴み、バスタブ側へ全力で押してみた(剣道の突きみたいなフォーム)ところ、力業で抜くことが出来ました。

抜き出した切替弁カートリッジ

置き去り物が無いか確認

これで苦難その2も突破です。さて苦難その3に行きます。サーモスタットカートリッジも全く抜けません。切替弁と同じやり方をしてみましたが抜けません。どうも先端に力をかけて引き抜くのは無理な感じです。破壊しないで取り出したい。さてどうしたものか。

どこかにテコの力をかけるところは無いかと見回してみると、一か所だけ可能性のある部分があります。ここ、本体カバーを外していなければ見つけることは出来ませんでした。

挿入位置を間違えないための切り欠き部

サーモスタットカートリッジの挿入位置を決めるための本体側切り欠きと、カートリッジのノッチとの間に少しばかりの隙間があります。マイナスドライバーでは入りが浅く厚みも足りずでテコをかけられませんでしたが、細口プライヤーが丁度良い感じに入り、本体側を支点にカートリッジを押し出すことができました。

ノッチの後ろに細口プライヤーを差し込む

ノッチをテコの力で押し出す

ここまで出てきたものの、奥のOリングが途中で引っかかりまた抜けなくなります。しかしカートリッジは定位置を脱しているため、カートリッジをゆする空間が生まれています。力をかけながら左右に小さくゆすることで引き抜くことができます。

抜き出したサーモスタットカートリッジ

さあ、では新しいカートリッジを両方入れていきましょう。差し込むのは手の力で問題なく入ります。グッと押し込んで入った感があれば良いです。カートリッジ側のノッチと本体側の切り欠きに隙間があっても、あとはカバーナットが押し付けられて固定されます。

サーモスタットカートリッジ挿入

切替弁カートリッジ挿入

両方のカバーナットを装着して本体カバーと蛇口を取り付けます。次に開閉レバーを差し込んで「止」にしておきます。その後に水栓と湯栓を反時計回りに回して開きます。

湯温を確認するために、給湯器側の給湯温度を低め(43度程度)に設定してください。ここからは、やけどをしないように十分に注意してください(もちろん自己責任です)。

温調レバーは40度にすると40度のお湯が出るという訳ではなく、温調レバーの目盛りは「40度のお湯が出る位置はここです」という目安を提供しているに過ぎません。ですから、サーモスタットカートリッジを交換した場合、どこが40度になる位置なのかを自分で見つけないといけません。

温調レバーをとりあえず40の刻印を真ん中にして差し込み、可能な限り低温側(KF771では向かって手前、Cの方向に回す)にしておきます。開閉レバーはカラン側へ全開にして水を出します(全開で吐水しないと測定温度が安定しません)。蛇口からの吐水に水温計を当てながら、温調レバーを徐々に高温側(KF771では向かって奥、Hの方向に回す)にしていき、水温計が40度で安定する位置で温調レバーを止めます。

水温計で40度の位置を探す

そのまま温調レバーを動かさずに一回引き抜き、基準目盛りと40の刻印位置が合うように差し直します。

基準位置に40が来るように差し直す

次に温調レバーを更に高温側へ回していき、最大湯温が給湯器側の設定と合っているかどうかを計測します。給湯器側の設定温度が高いとここで熱い湯が出ますので、くれぐれも低めに設定しておいてください。

温調レバーを最大湯温にするとお湯しか出ていないはずなので、給湯器側設定と同じ温度(あるいは±0.2度くらいの温度)になると思います。温度が上がらない場合は交換したサーモスタットカートリッジに問題がある可能性を検討してください。

問題がなければレバーにキャップをし、水栓アクセスのプレートを閉じて完了です。

交換完了!

開閉レバーが滑らかです!温調レバーも適度な負荷でスムーズに動きます!

今回は決定的な故障はしていないものの、10年を超えその兆候は見え隠れしている状態でした。そこで予防保全を兼ねてKF771の切替弁カートリッジとサーモスタットカートリッジを交換しました。

キッチン混合栓と洗面台混合栓ではさしたる苦労も無かったのですが、このKF771はかなり苦労しました。次から次へあれも回らないこれも取れないの連続で、正直なんの不具合も出さず元通り正常に動かすことが出来たのが奇跡のように感じます。4~5年目くらいの新しい状態ならまだしも、少なくとも10年超えで二つのカートリッジを同時交換はお勧めしません。特に一人で作業を行うと猛烈な孤独と焦燥感に包まれます。

銅のサビは湯側に付きやすく被膜も非常に強固であるため、あと4~5年経ったら本当にカバーナットは回らなかったかもしれません。かなり厳しい作業でしたが、結果としてここで一度回しておいて良かったなとは思いました。

ちなみに新しいシャワー水栓ユニットに交換した場合、KF771は製造終了しているので後継のFTB200DP1Tで69,000円(定価からどれくらい負けてくれるのかは水道屋さん次第)+ 出張料・施工費で15,000円~30,000円という感じかと思います。

 

 

※自分でカートリッジ交換を行う事を推奨するものではありません。自分で交換する場合は、本体、カバーナットやカートリッジの破損や漏水のリスク、作業によって不意に鏡等の周辺設備を破壊するリスク、高温の湯でやけどするリスクなどがあります。これらを十分に理解して必要な対策を講じた上ですべて自己責任で行ってください。この記事によって被ったあらゆる損害についてブログ主は免責とさせて頂きます。